運命共同体の親子

子育て

熊本の慈恵病院で日本初の内密出産が行われたことについて、今年に入り会見がありました。
10代の女性が匿名で出産したとのことで、様々なご意見があることと思います。

ただ、私はそれ以前の問題として、この女性がなぜこの選択をしなければならなかったのか非常に気になりました。頼りにするべき親にこそ出産を知られてはならなかったという女性の言葉が心に重く刺さり、この親子の姿を想像します。

親と子の大きすぎる関係

慈恵病院の会見では、

  • 出産を母親に知られると縁を切られるかもしれない
  • 親子関係は上手くいっていないが、それでも母親とは離れたくない
  • 暴力的なパートナーに知られたくない
    ということが内密出産の理由として女性のお気持ちを発表していました。

また、この女性が病院を退院する際、
今まで大人にこんなに優しくしてもらったことはなかった
とも言っていたとのこと。この一言に女性のこれまでの人生全てが表れていてます。

どれほど辛い人生を歩まれてきたのか…。
想像できるのは、ごく一般的な母子関係ではなかったということ。

本来、子供にとって無条件で愛してくれる人が親です
一番に愛されたい人、褒めてほしい人、認めてほしい人が親です

しかし、母親を求めても受けとめてくれないばかりか虐待もされていたようですから、拒絶や暴力もあったのかもしれません。
それだけ壮絶な人生を必死に生きてこられた背景を考えると、最悪の事態に至らなかったことは本当に幸いです。残される我が子を思えば厳しい決断に違いありませんが、それ以上に生きて幸せになってほしかったのでしょう。

ただ、何より悲しいのは、出産を隠してでも母を求める娘の気持ちにその母親は気がつけないこと。
我が子より母を優先した女性の思いがどれほどのものか、母親に届かないのは女性が気の毒でなりません。

今回の件だけでなく、若い女性の出産遺棄事件が時々ニュースになります。
似たような境遇の方が世の中には多くいらっしゃるということで、深刻な問題です。
改めて親と子の関係1つで、子供の人生が大きく変わってしまうということを知ってほしいと思いました。

ある意味、子供にとっては親が全てです。

言い換えると、母はどんな表情で、どのように自分と接しているか?
父は自分を見ていてくれたのか?理解してくれたか?大切にされているのか?
そういった両親の様子や関わりから自分への愛情を量っています。

ここで片親だった場合はどうなのか?という疑問がでるかもしれませんが、例え片親であろうと、その親が2人分の働きはできないにしても、きちんと我が子を見守り、向き合うことができれば特別大きな問題ではないと私は考えます。

一番肝心なことは、親の心がきちっと子供に向いているか否かです。
子供は驚くほどそれを敏感に感じ取り、親の心をしっかり見抜いています
ですから、厳しい母でもこの時だけは本当に優しかったとか、私のことには関心がなく母の心は別を向いていたとか、怖いくらいにはっきり感じ取っているものです。

きっと、この女性の母親も何かしらの考えや理由があって娘に厳しく当たっていたのだろうと想像しますが、でも、結果的にそれは母親の理由でしかありません。
親に愛されなかったという心の傷は大人になっても残り、また次の世代へと不運が繋がってしまうのです。

運は繋がる

このように書いていると、一番の元凶は母親だ!ということになってしまいますが、必ずしもそうとは言えません。
なぜなら、どうして母親は娘を愛さなかったのか?虐待にまで至ったのか?
ここが問題であり、気学的な事例や様々な事件の詳細を見聞きすると、実は、元凶と考えている親自体が過酷な幼少期を過ごしてきたケースが非常に多いということがわかっているからです。

親自身も子供時代は被害者で、やがて自分が加害者となって我が子を虐げる

不運というのはそうやって代々受け継がれてしまうのです。
この不運を絶つには法と道に沿った生活を続け、徐々に因縁を薄めていくしかありません。

こういった悲しい不運を繰り返さないために今からでもできる最善策は、どこにでもいるような当り前の家庭、ごく普通の親子関係を保つことです。
そんな何の変哲もないことが、人生においてはとても重要なことになるんですね。

子供への愛情はなさ過ぎてもだめだし、愛情や期待が大きすぎても過度のプレッシャーを与えて子供がだめになるし、そのさじ加減は親次第で悩ましいもの。

どちらにしても、親の関わり方次第で子供はどうにでもなってしまう
親子関係が人生に良くも悪くもダイレクトで影響してくると言えますから、親子関係の壁にぶつかったときには、今一度ご自身を振り返ってみてください。

我が子には幸せになってほしい!
それはどんな親だって願うこと。
その根幹を担っているのが我々親だということを忘れないでほしいと思います。

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